薬師寺さんの「お坊さんとめぐる 東塔・西塔 今昔さんぽ」についての備忘録その2。
今回は東塔西塔の「釈迦八相像」について。
前回と同様、記憶を頼りに書いているので間違いなどあったらごめんなさい。
↓第一回目はこちら
まずは東塔、お釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)が生まれてから悟りを開くまでの【因相】・・・入胎・受生・受楽・苦行の4つをざっくりとメモ。
・入胎(にったい)
お釈迦様の母である摩耶夫人が見た夢を表した像。6本の牙を持つ白象が右脇から体に入り、お釈迦様を身ごもった事を知る。
摩耶夫人の体内?でひょっこり顔を出している白象がキュート𓃰
そういえばお釈迦様の脇侍として知られる普賢菩薩さんも六牙の白象に乗ってるけど、これも何か関係があるのだろうか。
・受生(じゅしょう)
4月8日にルンビニー園で摩耶夫人の右脇から生まれたお釈迦様を表した像。
生まれてすぐ7歩歩き、右手を天に、左手を地に向けて唱えたというあの有名な「天上天下唯我独尊」は、私たち人間はみなそれぞれこの世で尊く、生きる意味を持っている…という意味。
何故7歩なのかというと、私たち人間が何度も輪廻転生する六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上)すら越えていく存在だと言うことを表しているからだそうだ。す、すげー
・受楽(じゅらく)
シャカ族の王子として生まれたお釈迦様が宮殿の外で厳しい現実を目の当たりにし、出家を決意する四門出遊(しもんしゅつゆう)を表した像。
ある日、外出をしようと東の門から出たお釈迦様は老人と出会う。また別の日は、南の門を出たところで病人に。また別の日は、西の門を出たところで死人と出会った。
宮殿で毎日贅沢な暮らしをしてきた箱入り息子のお釈迦様にとって、彼らの様相はかなりショッキングだったに違いない。
そしてまた別のある日、今度は北の門の外で一人の修行者に出会い、出家を決意する。
老い、病気、死…生きていく上で平等にやってくる避けられない苦しみに対してどう向き合っていけばいいのか? お釈迦様は地位も家族も捨て、修行の旅に出たのであった…ていうか、一国の王子がいきなり不在になるって結構ヤバいと思うのだが、引き継ぎとかちゃんとしたんだろうか(どーでもいい所が気になる社畜オタク)
・苦行(くぎょう)
出家したお釈迦様が厳しい修行を続ける様子を表した像。王族だった頃とは違い、質素な布をまとっただけの姿。
修行を続けるもうまくいかず、遂には骨がむき出しになるまで自分を苦しめる修行にシフトが、やはりそれでも悟りは得られず(当時のインドでは自分を痛めつける激しい修行が当たり前だったらしい)
そんな中、ほとんど骨と皮だけの姿となったお釈迦様を見かねて、スジャータという村娘が乳粥を差し出す。
スジャータ嬢の施しを受けたお釈迦様は、贅沢だけしていても駄目、厳しい修行だけをしていても駄目…中道(何事も程々が一番)という考えに気が付いたのだった。
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続きまして西塔、悟りを開いてからの【果相】・・・成道・転法輪・涅槃・分舎利の4つをこれまたざっくりとメモ️📝
・成道(じょうどう)
菩提樹の下で瞑想しながら、悟りの邪魔をする悪魔(マーラ)の誘惑を振り切って、遂に悟りを開く様子を表した像。
座禅を組み静かに瞑想するお釈迦様と、今にもお釈迦様に襲いかかりそうな悪魔たちの躍動感が対照的。まさに静と動という感じ。
この悪魔たちが動物の顔をしていたり上半身裸の美女だったり、個性豊かで見ていて飽きない。個人的には、悟りを開いて金ピカに光ったお釈迦様を見てビックリした猿の悪魔が新喜劇並みにひっくり返ってる姿がツボ。しかもちゃんと台座の上から転げ落ちてて芸が細かい。
・転法輪(てんぽうりん)
お釈迦様が教えを布教している姿を表した像。
法輪とは仏さまの教えのことで車輪のような形をした仏具のこと、転は説くこと。まさに車輪を転がすように教えを布教していったというわけだ。
5人の比丘(出家した男性僧)に教えを説いている場面で、2頭の鹿がちょこんと座っている後ろ姿が可愛い。 奈良だから鹿?と思ったら、鹿野苑(ろくやえん)という鹿がたくさんいる場所なんだそうだ。ちなみにこの鹿野苑で初めてお釈迦様が教えを説いたことから、初転法輪とも言われる。
像の中央にはお釈迦様のために祇園精舎(お寺)を寄贈したスダッタ長者の姿が。
お釈迦様の教えを聞いて感動したスダッタは、コーサラ国の王子に祇園精舎を建てるための土地を譲って欲しいと頼むが、王子は「欲しい土地の分だけ金貨を地面に敷き詰めたら譲ってあげてもいいよ^^」と言って相手にしない。
それを聞いたスダッタはなんと自分の全財産を売り払い、言われた通り地面に金貨を敷き詰め始めたのだ。それを見たコーサラ国の王子は感激し、祇園精舎を建てることを約束しましたとさ…めでたしめでたし。
…いや、コーサラ国の王子も諦めてほしくてそんなイジワルなことを言ったんだと思うが、それにしても釈迦ガチ勢スダッタ長者の推しに対して出費を惜しまない姿はまさにオタクの鑑だと思うので、もっと評価されるべきだと思う(誰に?)
・涅槃(ねはん)
クシナガラの地でお釈迦様が入滅する様子を表した像。
お釈迦様の周りには弟子たちが嘆き悲しむ姿が。私は涅槃図といえば多くの動物たちが一緒に描かれている賑やか(語弊)な絵図のイメージだったのだが、ここでは弟子たちの悲痛な表情だけが目に入り、妙に生々しくて魅入られる。
ところで昔から北枕で寝るのは死者と同じ=縁起が悪いなんて言われているが、これはお釈迦様が涅槃の際に頭を北に向けていたことから、故人を北枕で寝かせるようになったんだそうな。縁起が悪いどころかむしろお釈迦様と同じなんておこがましいのでは!?なんて思っちゃったりもするのだが…てか、私なんかどの方位かも気にせず寝てるし…
・分舎利(ぶんしゃり)
亡くなったお釈迦様を火葬し、分骨する様子を表した像。高く燃え上がる金色の炎が美しく神秘的。
お釈迦様は生前、弟子たちに「私が亡くなったら、その土地に則った方法で弔うように」と告げていた。そしてお釈迦様が入滅した地がたまたま火葬だったため、以降仏教では火葬が一般的になったそうだ。…これ、土葬ならまだしも仮に水葬とか鳥葬だったら確実に日本じゃ広まらなかったよね。よかった火葬で(?)
火葬後、お釈迦様の骨(仏舎利)を求めて信者たちが争っていたところをドローナというバラモンが鎮め、仏舎利は8つに分けられた。
信者たちはそれぞれ仏舎利を国へ持ち帰り、各々が仏塔を建てて祀られるようになった。それが日本にも伝わり、各地で塔(薬師寺の場合は東塔と西塔)が建てられるようになりましたとさ。
…お釈迦様の骨粉々やんけ!…っていうのは突っ込んではいけない
というか、8つに分ける時点でも「頭蓋骨がいい!」とか「大腿骨が欲しい!」とか争ってそうな気がする。まあそこはドローナさんがなんとか鎮めたんでしょうけど…(ドローナさんに対する謎の信頼)
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さて、無駄に長くなりましたがこの辺で。ここまで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
私の拙い文章だと大変分かりにくかったと思うので、是非実物を観に行ってくれ!!きっと今後も期間限定で拝観できるはずだから!!!(急な宣伝)
※ちなみに金堂とか諸々の見学や説明も受けたのだが、今回は割愛。